3.グッチ

ファッションブランドと聞いて誰もが最初に思い浮かべるところといえば、グッチ(Gucci)でしょう。イタリアのファッションブランドであるグッチは、ファッションブランドの元祖とも呼ばれています。それは世界で初めて、デザイナーの名前を表品に入れることで品質保証をしたためで、その後のファッションブランド形成に大きな影響を与えました。

グッチはもともと、グッチオ・グッチが1921年に創立した会社で、かばんをはじめとした革製品を扱う小さなお店でした。グッチオ・グッチは皮職人としてイギリスから輸入したかばんを販売するだけでなく、自ら修理をしていました。グッチが自らのお店を経営するに当たり、それまでの彼の人生経験等から生まれたポリシーが、「原価は意味を持たない。むしろ商品の値段が高ければ高いほど、それを所有することへの価値も高くなる」ということです。 これは、まだグッチが皮職人になる前に働いていたロンドンの最高級ホテル、サボイ・ホテルで、皿洗いからウェイターになるまで働いた結果、得たポリシーです。このことは、グッチの企業戦略に大いに生かされ、グッチが信頼を集めながらも持つことに価値があるブランドという地位へ上り詰める根拠となりました。

そのグッチが注目を浴び始めたのは、皮職人としてではなく、第二次世界大戦により皮革が使えなくなってしまった時に代用品として使った、コーティングしたキャンバス地によるかばんです。その配色がファッション的に人気を集め、グッチの名を国内に広めるきっかけとなりました。1930年代には、現在でもグッチのシンボルとなっている、くつわと鐙をモチーフにしたデザインが誕生することとなっています。そしてそこで得た人気と信頼をもとに、グッチの息子であるアルド・グッチがニューヨークに支店を出したことで、グッチはイタリア国内だけでなく、世界的なファッションブランドとなっていきます。ところが、2代目であるパオロ・グッチが亡くなった後は、内紛がおき、1980年代後半には、バーレーンに拠点を置く投資会社によって株式を奪われ、結局グッチ家はその後のグッチブランドにかかわる権利をなくしてしまいます。現在のグッチグループは、フランスを本拠地とする流通会社であるPPRの傘下に入っています。そしてグッチグループは、グッチの他にも大手のファッションブランドであるイヴ・サンローランやセルジオ・ロッシ、バレンシアガ、プーマなどがある、大規模グループとなっています。

現在のグッチは、かばんを扱っているのはもちろんのこと、女性や男性用の洋服やお財布、靴、香水、時計など、一大ファッションブランドとして幅広い商品を手がけています。グッチの長財布といえば、男性女性を問わず大人気のお財布で、長く使えることから品質の高さも伺え、若い方はもちろん、人生経験を積んでこられた方も愛用しているものです。またグッチのバッグには、ファッションとしてのデザインはもちろん、品質の高さで定評があるのは多くの方が知っていることです。多少値段が高くても、その分長く使えるということを考えると、一度は手に入れておきたいと多くの人が願うものとなっています。またグッチは、フリーダ・ジャンニーニというクリエイティブディレクターによって、多くの人気あるファッションデザインを生み出していっています。もともとは、1989年にドーン・メロー氏が初代のクリエイティブディレクターに就任したことが始まりで、その後トム・フォード氏やアレッサンドラ・ファキネッティ氏、ジョン・レイ氏を経て、現在のフリーダ・ジャンニーニ氏が2005年から就任しています。現在のグッチの社長はパトリツィオ・ディ・マルコ氏で、彼のもと、ハイファッションと魅力的なスタイルがありながらも伝統あるイタリアブランドとしての伝統と時代に左右されないタイムレスな価値があるブランドとしての確立を目指し、進んでいるところです。

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